輪島や能登の文化・風習・祭り・食材などをテーマに書かれたコラム


平成18年2月18日〜平成18年3月12日
輪島の伝統神事「如月祭」

輪島市河井町の重蔵神社の如月祭はその年の平穏と豊穣を祈る祭りで3月1日から3月7日まで行われます。

重蔵神社如月祭は重蔵神社の「古当(こうとう)」と呼ばれる数え年で48歳の氏子が一週間、当屋(とうや)にこもって米研ぎ神事などを行います。 当屋は古当の代表者の家が務め、祭の期間中は女人禁制とし重蔵神社の神様を奉りながら古式に則り神事を執り行います。

重蔵神社では氏子が厄を祓うため数え年42歳の時にその年の祭礼に奉仕する御当を組織しこれを新当と呼び、春の曳山祭りや夏のお神輿の担ぎ出しを行います。そして48の歳には古当として如月祭の神事を行います。

1週間のお籠もりは一般にあまり見ることがありませんが、6日に行われる神事「蟇目(ひきめ)式」では、古当の氏子が紋付き袴姿で当屋前に参列し、輪島塗の樽台の上に角樽と青竹の弓矢を献上し、宮司の御払いの後、東西南北の空へ矢を放ち平穏と五穀豊穣(ほうじょう)を願います。

如月祭は7日午前零時からの献備式で一週間の神事を終えますが、以前は2月に行われていたようで、明治以降現在のように3月に行われるようになったそうです。
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平成17年12月30日〜平成18年2月18日
南惣美術館

 輪島市町野町曽々木の南家は屋号を「南惣」といい、天領庄屋を勤めていた鎌倉時代以前より続く旧家です。江戸時代中期以降「北前船」で木材、米、塩、茶などを運び繁栄し、多いときには百人もの使用人を抱え、家独自の貨幣「家札」まで発行し、この家札は1960年代ころまで使われていたと言われています。
 現在も残されている築200年の母屋や米蔵は、代々の当主が収集した俵屋宗達、長谷川等伯、雪舟、千利休、芭蕉、野々村仁清、本阿弥光悦、尾形乾山、古九谷、織部、柿右衛門といった一級の美術品約250点を展示する南惣美術館として一般に公開されています。
 これだけの収蔵品がありながら美術館内はいたって静かです。あまり知られていないのかもしれません。人ごみに押される無くこともなくのんびりと見て回ることができます。母屋の囲炉裏ではお茶をいただくこともでき、いつもとは違った時間が過ごせます。
 曽々木は窓岩に代表される景勝地で、近くには平家(平時忠)の末裔の時国家があることでも知られる地域です。車ならば南惣美術館から時国家まではほんの5分程度です。
 南家には日本のかつての豊かさを伝える文化遺産が散逸することなく大切に保存されています。喧騒を忘れてゆっくりと訪ねてみたい、そんなところです。

 何代か前の奥さんが羽咋の喜多家(源氏の有力氏族新田家の末裔)から輿入れした際に持ってきた九谷焼の綺麗な普段使いの皿が能登空港能登の旅情報センターで展示されています。
 この皿は九谷焼の職人に自宅で焼かせた「お庭焼き」で、当時の喜多家や南家など能登の大庄屋の繁栄振りがうかがえる一品です。

■南惣美術館:石川県輪島市町野町東大野ク100
TEL/0768-32-0166
開館時間8:30-17:30 年中無休
入館料/大人700円、中小生400円(団体割引有)
by pico

平成17年12月4日〜平成17年12月30日
 冬の味覚「コウバコ」

 冬の輪島を代表する食材のひとつが「カニ」です。輪島港はカニの水揚港としては日本海側有数なのですが、産地といえどもズワイガニは値段が高く家庭の食卓に並ぶことは稀です。
 同じズワイガニでもメスは一匹数百円からせいぜい千円程度。これなら気軽に買えますが、なぜか県外ではあまり人気がないようです。オスに比べ大きさはかなり小さく脚を食べるには少々小さ過ぎるせいかも知れませんが、地元ではメスの方が好まれています。
 メスのズワイガニは「コウバコガニ/香箱蟹」と呼ばれ、お腹にたくさんの卵を抱えているのでオスとは容易に区別がつきます。お目当ては甲羅の中にある内子(未熟成卵)や濃厚な味わいのかに味噌で、コウバコでなければ味わえない味です。 内子がたくさん詰まっているかどうかは、カニを裏返してお腹の下の方を見ると、赤く透けて見えているものがおすすめです。
 コウバコは資源保護のため漁期が短く1月の初めまでしか味わえない季節限定の逸品です、お早めにどうぞ。
by pico

平成17年9月14日〜平成17年12月4日
能登の風景

 左の画像に写っているものが何かわかりますか?正解は「はざ」と呼ばれる刈り入れた稲を干す竹組みです。

 奥能登ではいまだにお日様と風の力による完全自然乾燥の「はざ干し(天日干し)」が多く残っています。平坦地で大規模に稲作をやっていると手間隙がかかり生産性の低い「はざ干し」を嫌ってしまいますが、「はざ干し」にしたお米は機械での乾燥では難しい絶妙なバランスで水分を保ち、とってもおいしく仕上げます。

 もともとおいしい能登のお米ですが、手間隙のかかった天日干しのお米はよりおいしいものになります。生産量が少ないため自家消費がほとんどで店頭に並ぶことの無いプレミア米です。
 能登の天日干し「こしひかり」は口にしたくともできない貴重なお米で高い評価も得ていますが、生産者の減少や機械化の中でそう遠くない将来には無くなってしまうかも知れません。

浜ゆで準備中〜、お腹を上にしています。生ズワイガニの基本的な茹で方(参考程度)

ここ何年かの物流の発達でスーパーの店頭などでも生のカニを見かけることが多くなってきましたが、茹で方って案外知られていません。11月にはズワイガニ漁が解禁になるので、ちょっと気が早いかも知れませんが茹で方を紹介します。

 まず用意しなければならないのは、カニが入る大きな鍋です(購入前に確認しておいてくださいね)。鍋にはカニが浸るぐらいの水に塩を入れ沸騰させます。塩加減は海水と同じ程度(水1リットルに対し30gが目安)にし、カニが小さい場合の塩加減は若干控えめにしましょう。
 水が沸騰したらここでカニをお腹を上にして鍋に入れます。
 カニを入れると一旦沸騰がおさまるので火加減を強火にして再沸騰させます。沸騰したら、火を小さくして(中火〜弱火で)カニの大きさによって15〜25分程茹でます。またカニが浮いてこないように落しフタをするといいですよ。
輪島かにまつり会場で浜ゆでされるズワイガニ※茹で時間が短いと後でカニが黒ずんでしまう場合があるので、少し余分に茹でてください。
茹で上がったら火を止めカニを取り出しお召し上がりください。

注意:活きガニ・・・
生きたカニをそのまま熱いお湯に入れると、せっかくの足がバラバラになってしまうので注意しましょう。生きたカニをゆでる場合は冷たい塩水からゆでましょう。

輪島かにまつりホームページより
by pico

平成17年8月1日〜平成17年9月14日
輪島市袖ヶ浜 〜袖ヶ浜に沈む夕陽〜
夏になるとキャンプ場・海水浴場として賑わいを見せる「袖ヶ浜」。袖ヶ浜は小さな入り江になっていて、アーチ状に緩やかな海岸線が続く砂浜です。袖ヶ浜の夕陽・・・pico
 日中賑わいを見せるこの海岸も夕刻になると人影も少なくなり静かな雰囲気に包まれます。
 海水浴場には浜茶屋が定番ですが、訪れる人もまばらで静かになった浜茶屋での夕涼みもなかなかいいものです。青空がゆっくりゆっくりと夕やけ色に染まっていく中、「ザワーッザワーッ」と繰り返される穏やかな波の音と涼やかな風・・・。水平線にゆっくりと沈んで行く夕陽を眺めていると、いつもの喧騒を忘れゆったりとした気持ちになれます。
 袖ヶ浜を毎日の散歩コースにされている方も少なくないようです。一日一日違う姿を見せてくれる夕陽が、とても綺麗だからでしょうか。

袖が浜海岸は輪島の市街地からすぐのところにあります。自動車なら中心部から大沢方面に5分ほどでいけますよ。

画像提供pico
by ちあき

輪島大祭の見どころ
8月22日奥津比(おくつひめ)神社大祭(海士町/あままち)
おみこし渡御祭 午後4時---
おみこし入水神事 午後5時30分ころ---御仮屋到着 午後6時---キリコ巡行 午後10時---御仮屋夜宮祭 午後11時
※おみこし入水神事は
23日午後5時30分ころにも執り行われます。  

8月23日重蔵神社大祭(河井町)
御仮屋九字切縄(くじきりなわ)ぬい神事 午後3時
おみこし渡御祭 午後9時---
河井浜 宮の下松明 午後10時・川尻の松明 午後11時---御仮屋到着 午前0時
※有料桟敷席あり(要予約)※キリコの担ぎ出し体験もできます(要予約)
8月24日住吉神社大祭(鳳至町/ふげしまち)
おみこし渡御祭 午後9時---
市役所前三角州松明神事 午後11時---御仮屋到着 午前0時

8月25日輪島前神社大祭(輪島崎町)
おみこし渡御祭 午後9時---
お祭り広場松明神事 午後10時---御仮屋到着 午後11時
※「天神昇龍燈」の担ぎ出し体験可能です。

体験の申込・問い合わせは輪島駅観光センター0768-22-1503まで
by pico

平成17年7月4日〜平成17年8月1日
 夜になるとカエルの鳴き声が賑やかだった我が家。仕事を終えて帰宅し、車から降りると黄緑色の光がほわーっ、ほわーっと漂っていました。蛍です。蒸し暑い夜には良く見られる光景でした。我が家の周りでは当たり前のように見られた蛍ですが、近年その姿を見ることがなくなってしまいました。
 なんとなく寂しく思い、ある蒸し暑い夜に街灯も灯っていない田舎道へ蛍を見に出かけました。車を止めて、ライトを消し、じーっと外を見ると蛍が漂っています。車から降りて水辺を眺めると、そこかしこに蛍が漂っています。
蛍たちは時々その灯りのリズムを一斉に合わせます。それは音楽を奏でているようです。その灯りは求愛の合図だそうです。お互いにその灯りのリズムをあわせて大きくなったり小さくなったり・・・。その幻想的な風景に心和ませていただきました。
by ちあき
蛍スポット・・・今年はちょっと少ないかも知れませんが、輪島と能登有料道路・金沢を結ぶ県道1号線の輪島市石休場(いさすば)あたりは新聞とかでよく紹介されています。主要道路沿いなのではじめての方でも比較的簡単に行けます。
(その他のスポットは環境保全のため残念ながらここでは紹介できませんので、宿のご主人など地元に詳しい方に聞いてみてくださいね)
by pico

輪島大祭の見どころ
8月22日奥津比(おくつひめ)神社大祭(海士町/あままち)
おみこし渡御祭 午後4時---
おみこし入水神事 午後5時30分ころ---御仮屋到着 午後6時---キリコ巡行 午後10時---御仮屋夜宮祭 午後11時
※おみこし入水神事は
23日午後5時30分ころにも執り行われます。
8月23日重蔵神社大祭(河井町)
御仮屋九字切縄(くじきりなわ)ぬい神事 午後3時
おみこし渡御祭 午後9時---
河井浜 宮の下松明 午後10時・川尻の松明 午後11時---御仮屋到着 午前0時
※有料桟敷席あり(要予約)※キリコの担ぎ出し体験もできます(要予約)
8月24日住吉神社大祭(鳳至町/ふげしまち)
おみこし渡御祭 午後9時---
市役所前三角州松明神事 午後11時---御仮屋到着 午前0時
8月25日輪島前神社大祭(輪島崎町)
おみこし渡御祭 午後9時---
お祭り広場松明神事 午後10時---御仮屋到着 午後11時
※「天神昇龍燈」の担ぎ出し体験可能です。
体験の申込・問い合わせは輪島駅観光センター0768-22-1503まで
by pico

平成17年5月9日〜平成17年7月4日
茅葺の家

 母方の実家は山の奥にあり茅葺の古い農家でした。子供の頃、遊びに行くと晩ご飯には囲炉裏で焼いた魚が出てきたものです。ガスで焼いた魚とは違う味わいがあり、子供心に「おいしい」って思ったものです。おかずは山菜・きのこや畑で採れた野菜などをふんだんに使った田舎料理で、山水で育ったおいしいお米と相まって、何杯もおかわりして食べたのを覚えています。
 あれから何十年かが経ち、大きな茅葺の屋根は瓦屋根に変わり、炊飯も電気やガスが主流になり、囲炉裏は手あぶり程度にしか使われていません。確かに便利にはなったのですが・・・なんとなく寂しい気分もします。
 輪島市三井町には茅葺の民家が移築され、交流の場として活用されています。簡単な食事やお茶もいただけます。「三井の里」と呼ばれるこの施設は輪島と金沢を結ぶ主要県道沿いにあります。
 囲炉裏のある生活を見たことの無い世代が多くなっています。今更昔には戻れませんが、日本人が日本人らしく生きていた頃のことを少しでも感じてもらえたらいいのですが・・・。
by pico

平成17年4月20日〜平成17年5月9日
高洲山
 輪島の市街地から東の方向に見える「高洲山/こうしゅうざん」は、奥能登で一番標高の高い山(567m)です。
 嶽山(だけやま)とか鵠巣山(こうのすざん)とも呼ばれる高洲山は信仰の山でもあり、山頂には高洲神社奥宮や薬師堂が残っています。付近の鉢伏山には戦国時代まで七堂伽藍の威容を誇っていた真言宗の寺があったと伝えられ、埋蔵金伝説が今でも残っているそうです。
 
 山頂には物々しい建物がいくつもありますが、これらは航空自衛隊のレーダーサイトの施設や放送局の中継所の建物です。レーダーサイトは最初第2次大戦後に進駐してきたアメリカ軍によって作られたものですが、輪島は日本海を挟んでロシアや朝鮮半島と隣り合わせの国境の街といえるかも知れません。

by pico

平成17年2月21日〜平成17年4月20日
輪島の曳山

 輪島にはその年に厄年を迎える男衆が1年間にわたって神事に奉仕しする「御当(おとう)」と呼ばれる風習が今も残っています。
 なかでも春の訪れを告げる「曳山祭」は最大の見せ場です。総輪島塗の山車が「御当」によって曳かれ街を巡り、災いや悪霊を取り払い福を招き入れます。「御当」の男衆は一生に一度の春の曳山祭のため毎晩遅くまで数ヶ月をかけて準備し、そうした中から仲間や地域との絆を深めていきます。
 多くの伝統や風習が失われていくなか輪島では「御当」を通して、絆が先輩から後輩へそして親から子へと受け継がれています。
曳山祭

鳳至町(ふげしまち)の住吉神社では4/4宵宮祭・4/5曳山祭

河井町の重蔵神社(じゅうぞうじんじゃ)では4/5宵宮祭・4/6曳山祭の日程で開催されます。

※4/5の重蔵神社での宵宮では神職他が拝殿で即興でユーモラスな踊りを舞う「神主舞/かんぬしまい」(20:00頃〜)が行われます。
by pico